作品資料

六十三歳の自画像 / Self Portrait at the Age of 63

レンブラント・ファン・レイン / Rembrandt van Rijn
1669年 · 油彩
作品画像
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ロンドン・ナショナル・ギャラリー作品記録 ↗

概要

Overview
晩年の画家が、帽子をかぶり手を前で重ねた姿を、暗い背景の前に描いた自画像である。
顔の明るい部分に残る絵具の起伏と、広く暗い衣服の対比が、姿の輪郭以上に身体の存在感を伝えている。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
半身像の頭と重ねた手が縦に並び、肩の広がりがそれを支えるため、小さな動きでも安定した人物像になる。

空間

Space
背景には場所を示す物が乏しく、顔と衣服の明暗差が人物を前へ押し出す主要な手掛かりになる。

色彩

Color
褐色を中心とする色のまとまりの中で、顔の赤みと白い帽子の明るさが静かな対照を作っている。

形態

Form
まぶたや頬の量感を細い輪郭だけで囲まず、明暗の変化と短い筆触の集まりで立ち上げている。

マチエール

Material
顔に置かれた厚い油絵具は光を受ける物質でもあり、描かれた肌と絵画の表面を同時に意識させる。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵する一六六九年の自画像であり、同年の他の自画像とは個体を区別する。
作者は生涯にわたって自画像を制作しており、本作だけを孤立した告白とせず、表現の反復の中で考えられる。

解釈上の論点

Interpretive Issues
晩年の顔から苦悩や達観を読み取ることはできても、それを画家本人の心理の確定的な証言にしてはならない。
肌を滑らかに見せることと存在を強く感じさせることは同じではなく、粗い筆触が人物の説得力を支える場合がある。

受験上の着眼点

Exam Points
顔の明部と衣服の暗部を比べ、絵具の厚さと描写密度の違いを説明する。
視線、頭の傾き、重ねた手から、動きの少ない肖像が持つ緊張を整理する。
モナ・リザと比較し、筆触を抑えた肌と絵具の跡を残す肌の違いを考える。