作品資料

線より / From Line

李禹煥 / Lee Ufan
1974 · 油彩
作品画像
このサイトでは作品画像を直接掲載していません
著作権と画像利用条件に配慮し、公式・所蔵館などの確認先をご案内します。
モーマ・作品記録 ↗

概要

Overview
青い筆触を縦方向に繰り返し、各線の濃い始まりから薄く消えてゆく終わりまでを並べた絵画である。
線を一定の濃さに塗り直すのではなく、筆に含まれた絵具の減少を画面に残している点が重要である。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
縦に引かれた複数の線が横へ並び、一本の内部の変化と線同士の反復を同時に読ませる構成である。

空間

Space
線と線の間や薄くなった先に支持体が現れ、描いた部分と描かない部分が連続した面として働く。

色彩

Color
青の色相を中心にしつつ濃淡が変わり、色数を増やすのでなく絵具の量の変化から差を作っている。

形態

Form
線は均一な帯ではなく、終端に向かって痕跡が弱まり、輪郭と地の境界が次第に曖昧になる。

マチエール

Material
モーマ所蔵の本作は油彩・カンヴァスと記録され、筆触の薄れは顔料、油、布の関係を考える手がかりとなる。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
一九七四年制作の《線より》を対象とし、同じ題名を持つ他年の作品を一つの画像や寸法で代表させない。
もの派に関わる活動を背景に、物同士の関係を扱う立体と、描く行為を残す絵画とを比較できる。

解釈上の論点

Interpretive Issues
線が消える状態を喪失だけの象徴と決めず、物質の減少が時間を見える形にしている可能性を考えられる。
反復は機械的な同一性を保証せず、一本ごとの持続と濃淡の差が規則の中で見えることに注目できる。

受験上の着眼点

Exam Points
濃い始点から薄い終端への変化を追い、静止した筆触が制作の時間を示す仕組みを説明する。
線と線の間を単なる未完成部分とみなさず、間隔が反復の読みを支えることを考える。
北斎の版画と比較し、輪郭を明示する線と絵具が減って消える線の役割の違いを述べる。