作品資料

叫び(1910年?版) / The Scream

エドヴァルド・ムンク / Edvard Munch
1910? · テンペラ / 油彩
作品画像
このサイトでは作品画像を直接掲載していません
著作権と画像利用条件に配慮し、公式・所蔵館などの確認先をご案内します。
MUNCH《叫び》MM.M.00514 ↗

概要

Overview
手を顔の両側へ寄せた人物を手前に置き、背後の道と水辺の景観を、鋭い斜線とうねる曲線の対照で組み立てた作品である。
人物の開いた口だけでなく、身体と空に広がる波状の線によって、感情が周囲の空間にも及ぶような見え方をつくる。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
手前の人物を大きく示し、奥へ向かう道の斜線と遠くの二人を添えることで、近景の孤立と距離の伸びを同時に強める。

空間

Space
道の直線は奥行きを明確にするが、水面や空の曲線はその安定を揺さぶり、異なる空間の秩序が一画面でぶつかる。

色彩

Color
空の暖色と水辺の寒色が大きな帯となり、自然の色の再現よりも、隣り合う色の緊張を前面へ出す。

形態

Form
頭と胴を単純な輪郭へまとめ、顔の周囲や背景の曲線と響き合わせることで、人体を風景から完全には切り離さない。

マチエール

Material
下塗りのない厚紙にテンペラと油彩を用いた作品で、カンヴァス上の油彩画と同じ素材だと一括りにしない。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
MUNCH所蔵の管理番号MM.M.00514に対応し、同館が制作年に疑問符を付ける1910年頃の版として扱う。
同主題には絵画や版画など複数の作品があるため、1893年の別作品や石版画の制作年・素材をこのレコードへ移さない。

解釈上の論点

Interpretive Issues
開いた口を見て人物が声を発していると決めるだけでなく、手の位置や風景の波状の線が示す反応のあり方を検討する。
不安を作者個人の病歴の説明へ直結させず、道の斜線、顔の省略、色帯の衝突という画面の条件から論じる。

受験上の着眼点

Exam Points
奥へ走る直線と周囲を巡る曲線を分け、空間の安定と不安定が共存する構図を説明する。
手、口、頭の輪郭を個別に見て、少ない要素で身体の反応を伝える方法を捉える。
ベーコンの《ベラスケスの教皇インノケンティウス十世による習作》と比較し、開いた口を囲む空間の違いを考える。