作品資料

天暗星青面獣 / Tenansei Seimenju

白髪一雄 / Kazuo Shiraga
1960 · 油彩
作品画像
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兵庫県立美術館・所蔵作品記録 ↗

概要

Overview
厚い油絵具を押し広げた帯やうねりが重なり、面の上を力が通過したような痕跡を残す抽象絵画である。
兵庫県立美術館の山村コレクションに属する一九六〇年作であり、足による制作を探究した白髪の絵画として扱う。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
太い絵具の流れが互いにぶつかり、一本の輪郭で対象を囲むのでなく、複数の方向が画面の緊張を作る。

空間

Space
絵具の重なりと盛り上がりが実際の浅い凹凸を生み、描かれた遠景とは別の奥行きを示している。

色彩

Color
絵具が混じった部分と色の差が残る部分の対比があり、色の境界は形の境界と完全には一致しない。

形態

Form
帯状の痕跡には広がりや折れがあり、一定の幅を保つ線よりも、押し動かされる物質の変化を感じさせる。

マチエール

Material
油彩を布上で厚く動かした絵画であり、表面の溝や隆起は身体の接触と絵具の抵抗を考える手がかりとなる。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
戦後の具体美術協会の活動と結びつく作品で、既成の描画道具だけに頼らない制作の可能性を考える例となる。
題名には『水滸伝』の人物名に関わる語が使われているが、特定人物の姿を描いた肖像としては扱わない。

解釈上の論点

Interpretive Issues
勢いのある痕跡から即座に怒りなどの感情を断定せず、身体の動きと絵具の粘性が共同で形を作る点を考える。
制作行為の珍しさだけを強調すると、完成画面に残る重なり、方向、空きの具体的な調整を見落とす。

受験上の着眼点

Exam Points
太い絵具の帯が交わる仕方を整理し、輪郭描写とは異なる形の成立を説明する。
制作時の運動と鑑賞時に見える凹凸を分け、残された痕跡から推論できる範囲を考える。
ベーコンの身体像と比較し、身体を描くことと身体で絵具を動かすことの違いを述べる。