作品資料

ブランコ(フラゴナールにならって) / The Swing (after Fragonard)

インカ・ショニバレ / Yinka Shonibare
2001 · インスタレーション / 彫刻 / ミクストメディア
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概要

Overview
フラゴナールの絵画に関わるブランコ上の人物を、頭部のない等身大の人形と柄のある衣服で立体化した作品である。
絵画の一場面をそのまま写すのでなく、人物の一部を抜き出し、布や周囲の人工的な植物で組み替えている。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
揺れる途中を思わせる身体と広がる衣服を核にし、ブランコの支えや植物を周囲へ配して場を作っている。

空間

Space
二次元の絵画に含まれた人物が鑑賞者と同じ空間の立体となり、画面内の視点だけではない見方が生まれる。

色彩

Color
柄のある布の鮮やかな色と人工的な植物の色が重なり、歴史的衣服の形と異なる装飾の印象を併存させる。

形態

Form
頭部がない一方で衣服と身振りは具体的であり、個人の顔によらず身分や時代を想像させる形となっている。

マチエール

Material
ガラス繊維の人形、ワックスプリントの綿布、ブランコ、人工の葉を用い、実物の衣服と作られた身体を組み合わせる。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
二〇〇一年制作でテート所蔵の作品を対象とし、題名が示すフラゴナールの絵画とは別の作者による作品として扱う。
ワックスプリントの布は複数地域の生産と流通に関わり、単純に一つの地域だけの伝統を示す材料とは言えない。

解釈上の論点

Interpretive Issues
顔が欠けることを匿名性だけに結びつけず、衣服や姿勢が個人に代わって社会的な役を示す仕組みを考えられる。
元の絵画を知ることで比較は増えるが、布と身体の素材の差や、実空間へ置かれた形だけからも分析を始められる。

受験上の着眼点

Exam Points
歴史的な衣服の形と布の模様を分け、複数の文化的な連想が一体の人形で交差することを説明する。
絵画の参照を複製と同一視せず、抜き出し、立体化、素材の変更という操作を整理する。
ピカソの人物群と比較し、身体像へ異なる文化的な形を組み込む際に何が変わるかを考える。