作品資料

名所江戸百景・大はしあたけの夕立 / Sudden Shower over Shin Ohashi Bridge and Atake

歌川広重 / Utagawa Hiroshige
1857 · 木版画
作品画像
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東京富士美術館:大はしあたけの夕立 ↗

概要

Overview
橋を渡る人々を斜め上から捉え、川、対岸、暗い空を雨の線でつなぐ縦長の木版画である。
橋の大きな斜線と雨の細い斜線の違いによって、都市の構造と一時的な天候が同じ画面で交差する。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
画面を横断する橋の斜線が近景を支え、上方の空と遠い岸を分ける水平の広がりと対照をつくる。

空間

Space
橋上の人物、川面、対岸を重ねて距離を示し、雨線がそれらを横切ることで空間全体を一つの天候に包む。

色彩

Color
空の暗いぼかしと川の明るい面が対照をつくり、人物の小さな色の違いが橋の上の動きを区切る。

形態

Form
橋の規則的な構造に対して、人々の傘や身を縮める姿勢が不揃いな形を加え、日常の動きを感じさせる。

マチエール

Material
色木版の線とぼかしによる表現であり、同じ図柄でも摺りの状態で空や雨の見え方が異なるため、個体の確認が必要である。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
名所江戸百景に含まれる1857年の一図で、このレコードでは東京富士美術館所蔵の作品を参照する。
都市の橋を主題とする名所絵であり、建築物の形だけでなく、天候によって人の行動が変わる場面を扱っている。

解釈上の論点

Interpretive Issues
暗い空を直ちに象徴的な不安へ結び付けず、雨の到来を示す気象描写と感情的な読みを分けて考える。
高い視点を写真のような瞬間記録と同一視せず、橋の角度と画面の縁による切り取りを構成として捉える。

受験上の着眼点

Exam Points
橋の太い斜線と雨の細線の働きを分け、線の太さと密度による役割の違いを説明する。
川面と遠い岸の細部の差から、距離が表現される仕組みを考える。
《凱風快晴》の安定した山の形と比較し、天候の変化を感じさせる構図の違いを見る。