作品資料

夜桜 / Cherry Blossoms at Night

横山大観 / Yokoyama Taikan
1929 · 墨・彩色
作品画像
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大倉集古館:夜桜の展示資料 ↗

概要

Overview
夜の桜を大きな一双の屏風に描き、花の明るさと樹木や周囲の暗さの対照によって、夜景の見え方をつくる作品である。
花の小さな単位が集まる領域と広い色面を組み合わせ、近くで細部を見る体験と離れて全景を見る体験を両立させる。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
花のまとまりと幹や枝の流れが横長の画面をつなぎ、細かい花を追う視線を大きな樹形へ戻す構成となる。

空間

Space
夜景では遠くの細部が明瞭に分かれるとは限らず、明るい花と暗い周辺の重なりが距離を推測する手掛かりになる。

色彩

Color
花の明るい調子が暗い部分との対照によって際立ち、昼の均等な明るさとは異なる選択的な見え方を生む。

形態

Form
小さな花を一輪ずつ独立させるだけでなく、集まりとして大きな面にまとめることで桜の樹冠を構成する。

マチエール

Material
紙本着色の六曲一双であり、折れを伴う大画面の幅が、花に囲まれるような視覚的な広がりに関わる。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
大倉集古館所蔵の1929年作を対象とし、同じ作者による別の夜桜図や、下絵とは区別する。
1930年にローマで開かれた日本美術展へ出品された作品で、近代の国際的な展示と屏風という形式の関係を考えられる。

解釈上の論点

Interpretive Issues
夜の場面を写真の露出のような均一な光学条件で説明せず、見せたい花を際立たせる色の選択として考える。
華やかさを日本画全体の性質と一般化せず、この作品の規模、花の集積、明暗の組合せに即して説明する。

受験上の着眼点

Exam Points
花一輪の形と花の集まりの形を分け、異なる尺度で画面がまとまる方法を考える。
明るい場所と暗い場所の分布から、夜景を見る視線がどこへ引き付けられるかを説明する。
セザンヌの山景にある色面の組立てと比較し、風景をまとまりとして構成する方法を整理する。