作品資料

カレーの市民(石膏原型) / Monument to the Burghers of Calais

オーギュスト・ロダン / Auguste Rodin
1889年 · 彫刻
作品画像
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ロダン美術館ムードン・作品記録 ↗

概要

Overview
異なる身振りと向きを持つ六人の市民をまとめ、危機に向かう集団を、一人の英雄の勝利とは違う形で示した記念碑の石膏原型である。
大きな手や足、重い衣服のひだが、歩くことや立ち止まることの負担を強め、各人の決断を別々の身体に担わせている。

造形分析

Formal Analysis

構図

Composition
六人を一つの頂点へ従わせず、異なる向きに配置し、周囲を歩くたびに前面の人物が入れ替わる構成にしている。

空間

Space
人物同士の間に通る空隙があり、身体が重なる位置と離れる位置の変化によって、群像のまとまりを捉え直せる。

色彩

Color
石膏の明るい表面では衣服の深い溝や指の間の陰影が目立ち、色の違いより光と影が人物を分ける。

形態

Form
大きく見える手足と長い衣服のひだが、顔の表情だけに頼らず、迷い、重さ、踏み出す力を感じさせる。

マチエール

Material
本レコードはムードン所蔵の石膏であり、ブロンズ像の光沢や屋外での変色を、この個体の性質として記述しない。

文脈・解釈

Context & Interpretation

文脈

Context
百年戦争中の一三四七年、包囲されたカレーのために六人の市民が身を差し出したと伝わる出来事を記念する作品である。
一八八九年に完成した石膏原型を対象とし、各地のブロンズ鋳造やカレーでの一八九五年の除幕とは年代を分ける。

解釈上の論点

Interpretive Issues
集団の勇気を示しながらも反応を一様にしないため、英雄的な記憶が個々人の恐れや負担を含むものとして読める。
台座の高さや周囲の歩ける範囲が鑑賞経験を変えるため、作品の形と実際の設置条件を同じものにしない。

受験上の着眼点

Exam Points
六人の向きと手の動きを区別し、一人の中心人物へ集約しない群像の仕組みを説明する。
石膏の明るい面と深いひだの影を使い、色を使わず身体を分ける方法を整理する。
サルセドのアトラビラリオスと比較し、身体を立体で現す記憶と、遺された物から不在を示す記憶の違いを考える。